検索結果詳細


 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「あれ、あれ、雲が乱るる。――花の中に、君の胸が揺ぐ。おお、最惜《いとお》しの御子に、乳飲まそうと思召《おぼしめ》すか。それとも、私が挙動《ふるまい》に、心騒ぎのせらるるか。客僧方《あなたがた》には見えまいが、地の底に棲むものは、昼も星の光を仰ぐ。御姿かたちは、よく見えても、彼処は天宮、此処は地獄、言《ことば》といっては交わされない。

 1489/1510 1490/1510 1491/1510


  [Index]