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 『湯島の境内』 青空文庫

お蔦 (やや気色《けしき》ばむ)まあ、死んでも構わないと、あの、ええ、死ぬまいとお思いなすって、……小芳さんの生命《いのち》を懸けた、わけしりでいて、水臭い、芸者の真《まこと》を御存じない! 私死にます、柳橋の蔦吉は男に焦《こが》れて死んで見せるわ。
早瀬 これ、飛んでもない、お前は、血相変えて、勿体《もったい》ない、意地で先生に楯《たて》を突く気か。俺がさせない。待て、落着いて聞けと云うに!――んでも構わないとおっしゃったのは、先生だけれど、……お前と切れる、女を棄てます、と誓ったのは、この俺だが、どうするえ。

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