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 『龍潭譚』 青空文庫

 けたたましき跫音《あしおと》して鷲掴《わしづかみ》に襟を掴むものあり。あなやと振返ればわが家の後見《うしろみ》せる奈四郎といへる力逞ましき叔父の、凄まじき気色《けしき》して、
 「つままれめ、何処をほツつく。」と喚きざま、引立てたり。また庭に引出してをやあびせられむかと、泣叫びてふりもぎるに、おさへたる手をゆるべず、

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