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 『日本橋』 青空文庫

 すぐにこれへ、と言われて、大な扉を入ると、ズシンと閉ったと思われい。稲妻のように、目を射られたのは、室一杯に並んだ書架に、ぎっしりと並んだ、独逸語じゃろうね、原書の背皮の金文字ですわ。
 暮方の空に、これがどうですか。紺地に金泥のごとく、尊い処へ、も一つの室には名も知れない器械が、浄玻璃ののように、まるで何です、人間の骨髄を透して、臓腑を射照らすかと思う、晃々たる光を放つ。

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