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 『天守物語』 泉鏡花を読む

朱の盤 (慌《あわたゞ》しく遮《さへぎ》る)やあ、姥《ばあ》さん、歯を当てまい、ご馳走が減りはせぬか。
舌長姥 何のいの。(ぐつたりと衣紋を抜く)取る年の可恐《おそろし》しさ、近頃は歯が悪うて、人間の首や、沢庵の尻尾《しつぽ》はの、かくやにせねば咽喉《のど》へは通らぬ。そのまゝの形では、金花糖の鯛でさへ、横噛りにはならぬ事よ。

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