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 『天守物語』 泉鏡花を読む

朱の盤 後生らしい事を言ふまい、彼岸は過ぎたぞ。――いや、奥方様、この姥が件《くだん》の舌にて舐めますると、鳥獣《とりけもの》も人間も、とろ/\と消えて骨ばかりになりますわ。……そりやこそ、申さぬことではなかつた。お土産の顔つきが、時の間に、細長う成りました。なれども、過失《あやまち》の功名、んで変りました人相が、却つて、もとの面体《めんてい》に戻りました。……姫君もご覧ぜい。

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