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 『薬草取』 青空文庫

 御山《おやま》へ花を取りに、と返事すると、ふんそれならば可《よ》し、小父《おじ》が同士《どうし》に行って遣《や》るべい。但《ただし》、この前《さき》の渡《わたし》を一つ越さねばならぬで、渡守《わたしもり》が咎立《とがめだて》をすると面倒じゃ、さあ、負《おぶ》され、と言うて背中を向けたから、合羽《かっぱ》を跨《また》ぐ、足を向うへ取って、猿《さる》の児《こ》背負《おんぶ》、高く肩車に乗せたですな。

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