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 『日本橋』 青空文庫

「何だねえ、そんな弱虫が、それじゃ、来てくれたって何にもなりゃしないじゃないか。」
 と口では笑いながら、嬉しい目で。その癖もの案じの眉が顰む。……軒の柳に靄の有る、瓦斯ほの暗き五月闇。浅黄の襟に頬う、………また雨催の五位鷺が啼くのに、内へも入らず、お孝は彳む。

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