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 『縁結び』 青空文庫

 泣出したもんだから、横抱《よこだき》にして飛んで帰ったがね。私は何だか顔はあかし、天狗《てんぐ》にさらわれて行ったような気がした。袂に入れた桃の実は途中で振落《ふりおと》して一つもない。
 そりゃいいが、半年経《た》たない内にその男は離縁《りえん》になった。
 だんだん気が荒《あら》くなって、姉さんのたぶさを掴《つか》んで打った、とかで、田地《でんじ》は取上げ、という評判《ひょうばん》でね、風の便りに聞くと、その養子は気が違ってしまったそうだよ。

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