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 『婦系図』 青空文庫

「攫徒《すり》の名も新聞に出ているがね、何とか小僧万太《まんた》と云うんだ。其奴《そいつ》の状した処では、電車の中で掏った時、大不出来《おおふでか》しに打攫《ふんづか》まって、往生をしたんだが、対手《あいて》が面《つら》を撲《なぐ》ったから、癪《しゃく》に障って堪らないので、ちょうど袖の下に俯向いていた男の袖口から、早業でその紙入をずらかし込んで、もう占めた、とそこで逆捻《さかねじ》に捻じたと云うんだね。

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