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 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

 と些とてれたやうに笑ふと、身を廊下へ引くのに、押続いて境は手拭を提げて出た。
 橋がかりの下口に、昨夜帳場に居た坊主頭の番頭と、女中頭か、それとも女房かと思ふ老けた婦と、もう一人の女中とが、といつた形にを並べて、一団に成つて此方を見た。其処へお米が、足袋まで見えてちよこ/\と橋がかりを越えて渡ると、三人の懐へ飛込むやうに一団。

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