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『海神別荘』
華・成田屋
公子 おお、それだ、字書のように、江戸紫で、都路と標目(みだし)が出た。(展く)あとを。
侍女五 ・・・時得て咲くや江戸の花、浪静かなる品川や、やがて越来る川崎の、軒端ならぶる神奈川は、早や程ケ谷に程もなく、暮れて戸塚に宿るらむ。紫匂う藤沢の、野面(のおも)に続く平塚も、もとのあわれは大磯か。蛙(かわず)鳴くなる小田原は。・・・(極悪(きまりわる)げに)・・・もうあとは忘れました。
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