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 『海神別荘』 華・成田屋

公子  可(よし)、ここに緑の活字が、白い雲の枚(ペエジ)に出た。――箱根を越えて伊豆の海、三島の里の神垣や――さあ、忘れた処は教えてやろう。この歌、五十三次の宿を覚えて、お前たち、あの道中双六とかいうものを遊んでみないか。上(あが)りは京都だ。姉の御殿に近い。誰か一人上って、双六の済む時分、ちょうど、この女は(姿見を見つつ)着くであろう。一番上りのものには、瑪瑙の莢に、宝玉の実を装った、あの造りものの吉祥果を遣る。絵は直ぐに間に合ぬ。この室(へや)を五十三に割って双六の目に合せて、一人ずつ身体(からだ)を進めるが可かろう。

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