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 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫

 びくりとして、三つ、ひらめく舌を縮めた。風のごとく駆下りた、ほとんど魚の死骸《しがい》の鰭《ひれ》のあたりから、ずるずると石段を這返《はいかえ》して、揃って、姫を空に仰いだ、一所《ひとところ》の鎌首は、如意《にょい》に似て、ずるずると尾が長い。

 二階のその角座敷では、三人、顔を見合わせて、ただ呆《あき》れ果ててぞいたりける風情がある。

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