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 『絵本の春』 青空文庫

 そこへ……小路の奥の、森の覆《おお》った中から、葉をざわざわと鳴らすばかり、脊の高い、色の真《まっしろ》な、大柄な婦《おんな》が、横町の湯の帰途《かえり》と見える、……化粧道具と、手拭《てぬぐい》を絞ったのを手にして、陽気はこれだし、のぼせもした、……微酔《ほろよい》もそのままで、ふらふらと花をみまわしつつ近づいた。

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