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 『薬草取』 青空文庫

 雨は浴《あび》るようだし、恐《こわ》さは恐し、ぶるぶる顫《ふる》えると、親仁が、強いぞ強いぞ、と言って、私の衣類を一丸《ひとまる》げにして、懐中を膨《ふく》らますと、紐を解いて、笠を一文字に冠《かぶ》ったです。
 それから幹に立たせて置いて、やがて例の桐油合羽《とうゆがっぱ》を開いて、私の天窓《あたま》からすっぽりと目ばかり出るほど、まるで渋紙《しぶかみ》の小児《こども》の小包。

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