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 『日本橋』 青空文庫

 現に国手、お前んの大学病院の何とか教室へ俺が推掛けて、偉い人たちに吃驚して遁げて返った、あの朝ですだ。忘れんですがい。――稲葉家の格子へ巡査が来て、お孝にお前んの身の上|話いて、――何が嬉しい、……俺は二階で聞いて胆魂が煮くり返るに、きゃっきゃっきゃっきゃっと笑うて、情事の免許状ようなものを渡いて帰った。お孝が、直ぐに内中の芸者を茶の室へ集めて、ですだな、国手。
(私は今日からおかみさん、そう思って附合っておくれ。そのかわり、私もその気で附合うから、借金なんか、まけて欲しい人には直ぐに目の前で帳消しに棒を引きますよ。)――だ、お前ん。

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