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 『日本橋』 青空文庫

 その勢で二階へ帰って来ると、まだも洗わんでおる俺を捉まえて、さあ、突然帰っておくれですだ。……芸者なら旦那が有ろうが、何が来ていようが構わない。それが可厭ならお止しだけれど、極った人が出来た上は、片時も、寝衣で胡坐かいた獣なんぞ、備前焼の置物だって身のまわり六尺四方は愚なこと、一つ内へは置けないから、即座帰れ。……云うて生真面目ですがい。

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