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 『薬草取』 青空文庫

 怪飛《けしと》んだようになって、蹌踉《よろ》けて土砂降《どしゃぶり》の中を飛出《とびだ》すと、くるりと合羽《かっぱ》に包まれて、見えるは脚ばかりじゃありませんか。
 蛙《あかがえる》が化けたわ、化けたわと、親仁《おやじ》が呵々《からから》と笑ったですが、もう耳も聞えず真暗三宝《まっくらさんぼう》。何か黒山《くろやま》のような物に打付《ぶッつ》かって、斛斗《もんどり》を打って仰様《のけざま》に転ぶと、滝のような雨の中に、ひひんと馬の嘶《いなな》く声。

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