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 『日本橋』 青空文庫

 天人に雲の上から投落されたも、お前ん、勿体ないだが、乙姫様に海の底から突出されたも同一ですだ。
 また始めに、お孝が俺のものになった時は、知ったほどの誰も彼も、不断云う、熊だことの、膃肭臍だことの、渾名を止めて、浦島だ、浦島だ、言うたもんで。俺も日本橋に竜宮が在る、と思うたですが。その筈ですだね。鯨に乗って泳ぎ込む程の不思議でのうて、熊がお孝と対座に、稲葉家の長火鉢の前に胡坐組めますまい。

 1849/2195 1850/2195 1851/2195


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