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『活人形』
鏡花とアンティークと古書の小径
此洞穴は比企ケ谷《やつ》の森の中にあり。さして目立つほどのものにあらねば、誰も這入つて見た者無し。
下枝は穴を這出《はひい》でて始めて天日を拝したる、喜び譬へむものも無く、
死
なんとしたる気を替へて、誰か慈悲ある人に縋りて、身の窮苦を歎き訴へ、扶助《たすけ》を乞はむと思ひつる。そは夕暮のことにして、畦道より北の方、里ある方へぞ歩みたれ。
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