検索結果詳細


 『婦系図』 青空文庫

 まことに硯を持って入って、そのかわり蝙蝠傘《こうもり》と、その柄に引掛けた中折帽《なかおれ》を忘れた。
 後へ立淀んで、こなたを覗《なが》めた書生が、お妙のその笑を見ると、崩れるほどにニヤリとしたが、例の羽織の紐を輪形《なり》に掉《ふ》って、格子を叩きながら、のそりと入った。

 1879/3954 1880/3954 1881/3954


  [Index]