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 『歌行燈』 従吾所好

(ヤヤ、難有い、仏壇の中に美婦〈たぼ〉が見えるわ、簀の子の天井から落ち度い。)などと、膝栗毛の書抜きを遣らつしやるで魔が魅〈さ〉すのぢや。屋台は古いわ、造りも広大。」
 と丸木の床柱を下から見上げた。
「千年の桑かの。川の底も料〈はか〉られぬ。燈も暗いわ、獺も出ようず。些と懲りさつしやるが可い。」

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