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 『木の子説法』 青空文庫

 女性の山伏は、いやが上に美しい。
 ああ、窓に稲妻がさす。胸がとどろく。
 たちまち、この時、鬼頭巾に武悪の面して、極めて毒悪にして、邪相なる大茸が、傘を半開きに翳《かざ》し、みしと面《つら》をかくして顕《あら》われた。しばらくして、この傘を大開きに開く、鼻を嘯《うそぶ》き、息吹《いぶ》きを放ち、毒を嘯いて、「取て噛《か》もう、取て噛もう。」と躍りかかる。取着き引着《ひッつ》き、十三の茸は、アドを、なやまし、嬲《なぶ》り嬲り、山伏もともに追込むのが定《じょう》であるのに。――

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