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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
七面倒な、こうすべい、と荒稼ぎの気短徒《きみじかてあい》じゃ。お前様、上かがりの縄の先を、嘉吉が胴中へ結え附けて、車の輪に障らぬまでに、横づけに縛りました。
賃銭の外じゃ、落しても大事ない。さらば急いで帰らっしゃれ。しゃんしゃんと手を拍いて、賭博《ばくち》に勝ったものも、負けたものも、飲んだ酒と差引いて、誰も損はござりませぬ。可い機嫌のそそり節、尻まで捲った脛の向く方へ、ぞろぞろ散ったげにござります。
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