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 『婦系図』 青空文庫

「さよう、芸妓を入れていて、自分で不都合だと思ったら、妙には指もさしますまい。直ちに河野へ嫁入らせる事に同意をしましょう。それとも内心、妙をどうかしたいというなら、妙と夫婦になる前に、芸妓と二人で、世帯の稽古をしているんでしょう。どちらとも彼奴《あいつ》の返事をお聞き下さい。或《あるい》は、自分、妙を欲しいではないが、他なら知らず河野へは嫁《や》っちゃ不可《いか》ん、と云えば、私もお断《ことわり》だ。どの道、妙に惚れてる奴だから、その真実愛しているものの云うことは、娘に取っては、神仏《かみほとけ》の御託宣《おつげ》と同一《おんなじ》です。」

 1989/3954 1990/3954 1991/3954


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