検索結果詳細


 『春昼後刻』 泉鏡花を読む

 庵室の客人なんざ、今聞いたやうだと、夢てふものを頼み切りにしたのかな。」
 と考へが道草の蝶に誘はれて、ふは/\と玉の緒が菜の花ぞひに伸びた処を、風もないのに、颯とばかり、横合から雪の腕、緋の襟で、つと爪先を反らして足を踏伸ばした姿が、真黒な馬に乗つて、蒼空を翻然と飛び、帽子の廂を掠めるばかり、大波を乗つて、一跨ぎにの虹を躍り越えたものがある。

 19/444 20/444 21/444


  [Index]