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『日本橋』
青空文庫
洪と鳴って新しい火の手が上ると、魔が知らすような激しい人声。わッと喚いてこの町も危くなったが、片側の二階からドシドシ投出す、衣類、調度。
ト諸君はお竹蔵と云うのを御存じの筈と思う。あの屋根から、誰が投げて、どのがらくたに交ったか、二尺ばかりの蝋鞘が一口。蛇のごとく空に躍って、ちょうどそこへ来た、
赤
熊の額を尾でたたいて、ハタと落ちた。
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