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 『木の子説法』 青空文庫

 あの世話方の顔と重《かさな》って、五六人、揚幕から。切戸口にも、楽屋の頭《かしら》が覗《のぞ》いたが、ただ目鼻のある茸になって、いかんともなし得ない。その二三秒時よ。稲妻の瞬く間よ。
 見物席の少年が二三人、足袋を空に、逆《さかさ》になると、膝までの裙《すそ》を飜《ひるがえ》して仰向《あおむけ》にされた少女がある。マッシュルームの類であろう。大人は、立構えをし、遁身《にげみ》になって、声を詰めた。

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