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『木の子説法』 青空文庫
見物席の少年が二三人、足袋を空に、逆《さかさ》になると、膝までの裙《すそ》を飜《ひるがえ》して仰向《あおむけ》にされた少女がある。マッシュルームの類であろう。大人は、立構えをし、遁身《にげみ》になって、声を詰めた。
私も立とうとした。あの舞台の下は火になりはしないか。地震、と欄干につかまって、目を返す、森を隔てて、煉瓦《れんが》の建《たて》もの、教会らしい尖塔《せんとう》の雲端に、稲妻が蛇のように縦にはしる。
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