検索結果詳細


 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

「不断の事ではありませんが、……此の、旦那、池の水の涸れる処を狙ふんでございます。鯉も鮒も半分鰭を出して、あがきがつかないのでございますから。」
「怜悧な奴だね。」
「馬鹿な人間は困つ了ひます――魚が可哀相でございますので……然うかと言つて、夜一夜、立番をしても居られません。旦那、お寒うございます。おしめなさいまし。……そちこち御註文の時刻でございますから、何か、不手際なものでも見繕つて差上げます。」

 211/330 212/330 213/330


  [Index]