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 『婦系図』 青空文庫

 荷物を引立《ひった》てて来て、二人で改札口を出た。その半纏着と、薄色背広の押並んだ対照は妙であったが、乗客《のりて》はただこの二人の影のちらちらと分れて映るばかり、十四五人には過ぎないのであった。
 め組が、中ほどから、急にあたふたと駈出して、二等室を一ツ覗き越しにも一つ出て、ひょいと、飛込むと、早や主税が近寄る時は、荷物を入れて外へ出た。
「ここが可いや、先生。」

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