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 『夜叉ヶ池』 青空文庫

晃 信ずる、信ずるようになった。萩原晃はいざ知らん、越前国三国ヶ岳の麓、鹿見村琴弾谷《ことひきだに》の鐘楼守《しょうろうもり》、百合の夫の二代の弥太兵衛は確《たしか》に信じる。
学円 (ひたりと洋服の胡坐《あぐら》に手をおき)何にも言わん。そう信ぜい。堅く進ぜい。奥方の人を離れたしさを見るにつけても、天がこの村のために、お百合さんを造り置いて、鐘楼守を、ここに据えられたものかも知れん。君たち二人は二柱《ふたはしら》の村の神じゃ。就中《なかんずく》、お百合さんは女神じゃな。

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