検索結果詳細
『日本橋』
青空文庫
仲通の小紅屋の小僧は、張子の木兎のごとく、目を光らして一すくみになった。
火の影ならず、
血
だらけの抜刀を提げた、半裸体の大漢が、途惑した幟の絵に似て、店頭へすっくと立つと、会釈も無く、持った白刃を取直して、切尖で、ずぶりとそこにあった林檎を突刺し、敵将の首を挙げたるごとく、ずい、と掲げて、風車でも廻す気か、肌につけた小児の上で、くるりくるりとかざして見せたが、
2131/2195
2132/2195
2133/2195
[Index]