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『親子そば三人客』
従吾所好
直ぐに娘は盆を据ゑて、片手を振りながら、台所の曇つたやうな中仕切の敷居を跨いで、結綿に結んだ手柄の色、鮮麗〈あざやか〉に露れたが、此の註文は別に一人。
入口に極近く、障子に肩の触れるばかり、悄れた状〈さま〉して、羽織も着ないで、頬被をして居たらしい、なえた手拭を項〈うなじ〉に絡いて、身を窄めて居た壮佼
〈わかいもの〉で、顔を燈に背けたから、年紀〈とし〉の頃よく分らず。
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