検索結果詳細
『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
御柱《みはしら》を低く覗《のぞ》いて、映画か、芝居のまねきの旗の、手拭《てぬぐい》の汚れたように、渋茶と、藍《あい》と、あわれ鰒《あわび》、小松魚《こがつお》ほどの元気もなく、棹《さお》によれよれに見えるのも、もの寂しい。
前へ立った漁夫《りょうし》の肩が、石段を一歩出て、後《うしろ》のが脚を上げ、真中《まんなか》の大魚の鰓《あご》が、端を攀《よ》じっているその変な小男の、段の高さとおなじ処へ、生々《なまなま》と出て、横面《よこづら》を鰭《ひれ》の血で縫おうとした。
21/257
22/257
23/257
[Index]