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『五大力』
従吾所好
処が案外、歯入屋にも小僧が居る……片隅から、ちよろ/\と鼠の如く現はれて、柱に攀上るやうにして、天井の傘をはづす音、ばさり、ごそり、雨はじと/\と降る。
「涸れて居ります事はお請合で。御覧下さいまし。……電燈〈でんき〉が来ないな、電燈が来ないな。」
と叱言〈こゞと〉らしく小僧は云ひ/\、ふツ/\と膝を吹いたが、古下駄に赤めの入歯を、鉄槌でコトンと敲く。
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