検索結果詳細


 『五大力』 従吾所好

 処が案外、歯入屋にも小僧が居る……片隅から、ちよろ/\と鼠の如く現はれて、柱に攀上るやうにして、天井の傘をはづす音、ばさり、ごそり、雨はじと/\と降る。
「涸れて居ります事はお請合で。御覧下さいまし。……電燈〈でんき〉が来ないな、電燈が来ないな。」
 と叱言〈こゞと〉らしく小僧は云ひ/\、ふツ/\と膝を吹いたが、古下駄に赤めの入歯を、鉄槌でコトンと敲く。

 226/1139 227/1139 228/1139


  [Index]