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 『木の子説法』 青空文庫

 といって、顔をかくして、倒れた。顔はかくれて、両手は十ウの爪紅《つまべに》は、世に散る卍《まんじ》の白い痙攣《けいれん》を起した、お雪は乳首を噛切《かみき》ったのである。

 一昨年《おととし》の事である。この子は、母の乳が、肉と血を与えた。いま一樹の手に、ふっくりと、且つ健かに育っている。

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