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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
爺どのは慄然《ぞっ》として、はい、はい、と柔順《すなお》になって、縄を解くと、ずりこけての、嘉吉のあの図体が、どたりと荷車から。貴女《あなた》は擡《もた》げた手を下へ、地の上へ着けるように、嘉吉の頭を下ろさっせえた。
足をばたばたの、手によいよい、輻《やぼね》も蹴はずしそうに悶《もが》きますわの。
(ああ、お前はもう可いから。)邪魔もののようにおっしゃったで、爺どのは心外じゃ……
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