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『眉かくしの霊』
泉鏡花を読む
白い森も、白い家も、目の下に、忽ち颯と……空高く、松本城の天守をすれ/\に飛んだやうに思ふと、水の音がして、もんどり打つて池の中へ落ちると、同時に炬燵でハツと我に返つた。
池におびたゞしい羽音が聞えた。
此の案山子になど追へるものか。
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