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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「否《いや》、いや、私が聞いただけでも、何か、こう故《わざ》と邪慳に取扱ったようで、対手《あいて》がその酔漢《よいどれ》を労《いたわ》るというだけに、黙ってはおられません。何だか寝覚が悪いようだね。」
 「ええ、串戯《じょうだん》にも、氏神様の知己《ちかづき》じゃと言わっしゃりましたけに、嘉吉を荷車に縛りましたのは、明神様の同一《おなじ》孫児を、継子扱いにしましたようで、貴女《あなた》へも聞えが悪うござりますので。

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