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 『星あかり』 泉鏡花を読む

 これに夢が覚めたやうになつて、少し元気がつく。
 曳いて来たは空車で、青菜も、藁も乗つて居はしなかつたが、何故か、雪の下の朝市に行くのであらうと見て取つたので、なるほど、星の消えたのも、空が淀んで居るのも、夜明に間のない所為であらう。墓原へ出たのは十二時過、それから、あゝして、あゝして、と此処まで来た間のことを心に繰返して、大分の時間が経つたから。

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