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『婦系図』
青空文庫
茶店の婆さんというのが、式《かた》のごとく古ぼけて、ごほん、と咳《せ》くのが聞えるから、夫人は余り気が進まぬらしかったが、二三人子守女《もりっこ》に、きょろきょろ見られながら、ずッと入る。
「お掛けなさいまし。お日和で
ござ
います。よう御参詣なさりました。」
夫人が彳んでいて掛けないのを見て、早瀬は懐中《ふところ》から切立の手拭を出して、はたはたと毛布《けっと》を払って、
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