検索結果詳細


 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 尤も見さっしゃります通り、道はなぞえに、向《むこう》へ低くはなりますが、下り坂というほどではなし、その疾いこと。一なだれに辷ったようで、漸《やっ》と石段の下で、うむ、とこたえて踏留まりますと、はずみのついた車めは、がたがたと石ころの上を空廻りして、躍ったげにござります。
 見上げる空の森は暗し、爺《じじい》どのは、身震いをしたと申しますがの。」


 244/1510 245/1510 246/1510


  [Index]