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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
尤も見さっしゃります通り、道はなぞえに、向《むこう》へ低くはなりますが、下り坂というほどではなし、その疾いこと。一なだれに辷ったようで、漸《やっ》と石段の下で、うむ、とこたえて踏留まりますと、はずみのついた車めは、がたがたと石ころの上を空廻りして、躍ったげにござります。
見上げる空の森は暗し、爺《じじい》どのは、身震いをしたと申しますがの。」
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