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 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

 無事に、先づお帰りなすつて、夕飯の時、お膳で一口あがりました。――旦那の前でございますが、板前へと、ご丁寧にお心づけを下すつたものでございますから私……一寸御挨拶に出ました時、恁う言ふおたづねでございます――お社へお供物にきざ柿と楊枝とを買ひました、……石段下の其処の小店のお媼さんの話ですが、山王様の奥が深い森で、其の奥に桔梗ヶ原と言ふ、原の中に、桔梗の池と言ふのがあつて、その池に、お一方、おしい奥様が在らつしやると言ふことですが、真個ですか。――

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