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『薬草取』
青空文庫
やがて気が付くと、娘と二人で、大《おおき》な座敷の片隅に、馬士《まご》交《まじ》り七、八人に取巻かれて坐っていました。
何百年か解《わか》らない古襖《ふるぶすま》の正面、板の間《ま》のような床《ゆか》を背負《しょ》って、大胡坐《おおあぐら》で控えたのは、何と、鳴子《なるこ》の渡《わたし》を仁王立《におうだち》で越した抜群《ばつぐん》なその親仁《おやじ》で。
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