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 『薬草取』 青空文庫

 何百年か解《わか》らない古襖《ふるぶすま》の正面、板の間《ま》のような床《ゆか》を背負《しょ》って、大胡坐《おおあぐら》で控えたのは、何と、鳴子《なるこ》の渡《わたし》を仁王立《におうだち》で越した抜群《ばつぐん》なその親仁《おやじ》で。
 恍惚《うっとり》した小児《こども》のを見ると、過日《いつか》の四季の花染《はなぞめ》の袷《あわせ》を、ひたりと目の前へ投げて寄越《よこ》して、大口《おおぐち》を開《あ》いて笑った。

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