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 『義血侠血』 青空文庫

 御者は書巻を腹掛けの衣兜《かくし》に収め、革紐《かわひも》を附けたる竹根の鞭を執りて、徐《しず》かに手綱を捌きつつ身構うるとき、一輛の人力車ありて南より来たり、疾風のごとく馬車のかたわらを掠めて、瞬く間《ひま》に一点の黒影となり畢《おわ》んぬ。
 人はこれを望みて、
「おい小僧さん、腕車《くるま》よりおそいじゃないか」

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