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 『婦系図』 青空文庫

 と婆さんを避《よ》けかたがた、立構えで、夫人が肩を擦寄せると、早瀬は後《うしろ》へ開いて、夫人の肩越に婆さんを見て、
「それとも一円に幾干だね、それから聞いて屋賃の処を。」
「もう、私は、」と堪りかねたか、早瀬の膝をハタと打つと、赤らめた顔を手巾《ハンケチ》で半ば蔽いながら、茶店を境内へ衝《つっ》と出る。

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