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『天守物語』
泉鏡花を読む
夫人 見ておいで、それは姫路の、富だもの。
蓑を取つて肩に装《よそほ》ふ、
美
しき胡蝶の群、ひとしく蓑に舞ふ。颯《さつ》と翼を開く風情《ふぜい》す。
それ、人間の目には、羽衣を被た鶴に見える。
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